ボストン拠点のコンサルティングファームM4社を運営し、アメリカ市場での成功を支援する経営者。ライフサイエンス分野の専門知識と「伝える」力を活かし、価値あるものが正当に評価される世界の実現を目指す。
読者の皆様に、簡単に自己紹介をお願いします。
宮本麻央と申します。Mao Miyamoto Medical Media (以下M4社) という、ライフサイエンス系企業向けにマーケティング戦略を展開するコンサルティングファームを経営しています。私は日本で生まれ育ち、神戸大学理学部で生物学を専攻していました。毎日ラボで研究に没頭していましたが、研究結果や実績を出すことが非常に重視される中、「良い研究をすれば結果はついてくる」という考え方が主流で、特に成果を「伝える」ことへの優先順位や関心が低いという状況に課題を感じました。
その後も、伝える力の不足が、資金調達や就職活動など、さまざまな場面で企業・研究機関・個人にネガティブな影響を与えていることを実際に目の当たりにしてきました。この問題意識が、私がマーケティング分野でキャリアを築くきっかけとなりました。
当時の日本には、ライフサイエンス分野で「伝える」ことに特化した市場が存在しませんでした。そのため、アメリカに留学し、ライフサイエンスの専門知識を持ちながら、さまざまなオーディエンスに専門性の高い情報を効果的に伝える、メディカルイラストレーションを学びました。さらに、現地でライフサイエンス特化型の制作会社や広告代理店で経験を積み、現在に至っています。
これまでの経験を通じて、私はライフサイエンスの分野における「伝える」ことの重要性を強く感じています。今後も、この分野で優れた研究や製品が適切に評価され、広く認知されるよう支援していきたいと考えています。
M4社を設立した背景を教えてください。
現地の制作会社や広告代理店で経験を積む中で、「サイエンスの成果を伝える」ことの重要性が、アメリカで非常に高いと実感したことがきっかけです。私のサイエンスとコミュニケーションの専門性は、サイエンスやアイディアを伝えることが重要なスタートアップと相性が良く、多くのアメリカの起業家たちの事業に挑戦させていただき、個人として実績を積むことができました。ご支援させていただいたスタートアップが、飛躍的に成長するに伴い、サービス内容もマーケティングへ拡大しました。こうした流れを受けて、よりシステマチックに事業を展開し、さらに多くのクライアント様に質の高いサービスを提供することを目指し、法人化しました。
なぜボストンで起業を?
ライフサイエンス分野におけるボストンの強力なエコシステムに魅了されたのが最大の理由です。ボストンは、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)など、世界的に著名な研究機関が集まっており、ライフサイエンス分野の革新的な研究と技術の発展が盛んです。また、VertexやBiogen, Novartisなどボストンに本社を置く企業をはじめ、多くのバイオテクノロジー企業や製薬会社が集積しているため、業界内でのネットワーキングやコラボレーションのチャンスに溢れています。
さらに、ボストンでは資金調達の機会も豊富で、ベンチャーキャピタルや投資家がライフサイエンス関連のスタートアップに対して積極的に投資しています。このようなライフサイエンス分野を巡る恵まれた環境が、事業展開に非常に魅力的であり、私たちのミッションを実現するための理想的な場所であると考えました。
M4社で実現したい社会について教えてください。
私たちは、" A world where what deserves recognition receives recognition (価値あるものが正当に評価される世界) ”を目指しています。世の中には、素晴らしい研究や革新的な製品が数多く存在しますが、教育や資金、人脈といったリソースへのアクセスが限られているために、それらが正当に評価されることなく埋もれてしまう場面を、私たちは何度も目にしてきました。さらに、差別や利権に妨げられて、リソースへのアクセスが平等でない現実もあります。
私たちは、質の高い研究や製品を世の中に広められるようなマーケティング戦略を提供し、必要とする人々に遍くリソースが行き渡るように支援したいと考えています。私たちの活動を通じて、才能ある人々がその能力を最大限に発揮し、結果として社会全体が恩恵を受けることを目指しています。
私たちのビジョンは、全ての人が公平に評価され、その価値が認められる社会の実現です。ライフサイエンス分野での私たちの取り組みが、このビジョンの実現に少しでも貢献できることを願っています。
なぜブログを始めようと思ったのですか?
日本の製薬系スタートアップがアメリカ市場に進出する際の手助けとなる情報を発信したいと考え、ブログを始めました。私が留学していた頃は、こうした情報のニーズがあまり高くないと感じていましたが、近年では、日本政府によるスタートアップ育成政策の後押しもあり、日本のライフサイエンス系スタートアップがアメリカ市場に挑戦する機会が増えています。
弊社はライフサイエンスの中心地であるボストンで活動し、これまでに数多くのアメリカ企業とビジネスを展開してきた実績があります。IPOやM&Aを通してイグジット(Exit)に成功したクライアント様もいらっしゃいます。日本から、ご依頼やご相談をいただくことも増えてきたこともあり、こうした情報のニーズに応える形で、ブログを発信することにしました。
アメリカ進出を目指す企業が直面する課題や、成功に必要な戦略について、実践的な情報を提供していきたいと思っています。
ライフサイエンス業界の皆様へ一言。
世界市場、特にアメリカへの進出は、ビジネス成功の鍵を握る重要なステップとなっています。しかしアメリカ進出の成功例は少なく、必ずしも容易ではありません。そんな中、最適な戦略を模索しながら一歩を踏み出す皆様の勇気に、私たちは心から敬意を表します。私たちは、皆様の挑戦を全力で応援し、皆様の成功に向けたお手伝いができることを強く願っています。マーケティング支援やネットワーク作りを通じて、私たちの知見がお役に立てれば幸いです。ご相談がある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。